「消防士ってかっこいい」
「人の役に立つ仕事がしたい」
「安定した公務員になりたい」
そんな気持ちから、消防士という職業に興味を持つ人は多いと思います。
10代や20代で就職先として考えている人もいれば、最近では社会人枠というものもあり30代での転職を検討している人もいるでしょう。
でも、こんな疑問はありませんか?
- どんな道具を使っているの?
- 装備は全部支給されるの?
- 自腹で買うものってあるの?

そこで今回は、現役消防士のリアルな話をもとに、
- 消防士に支給される装備
- 壊れたら個人購入をしている道具
- 支給されないけど多くの消防士が買っているアイテム
- 装備に対する消防士の考え方
を、わかりやすく解説します。
この記事を読めば、消防士という仕事の理想と現実のギャップが分かると思います。
いろいろな消防本部があるので一概には当てはまらないこともあると思いますが、参考にしてください。
基本的に装備品は支給される
結論から言うと、消防士の個人装備は“命に直結するもの”は支給されます。
けれど、消耗品や仕事がしやすいようにするために道具は個人での購入が多いです。
まず、消防士さんのモットーは「安全・確実・迅速」。
迅速は一番最後です。
なによりも、安全を確保することが大切。
火災や事故、様々な災害に対応するためには、まずは、自分の安全を確保して、要救助者を救助します。
自分の安全を確保するということは、要救助者の方の安全を確保することにもつながります。
危険な環境の中での最大限の安全を構築することが何よりも重要です。
次に、確実に活動をする。
不確実な行動は事故につながります。事故につながるということは、安全ではないということです。
絶対にあってはならないことですね。
最後に、迅速に行動する。
活動環境が悪ければ、安全性(物理的・心理的)を確保して、確実な行動が取れるように対処をして、その環境の中で最大限の迅速性で災害に対応する。
これが消防士の方たちが日々訓練や勉強をしている理由ですね。
そこに、仕事のやりやすさを求めるために、自分に合った装備は自分で選ぶ、というのが実情です。
消防士という仕事は「マニュアル通り」では成り立ちません。
だからこそ装備にも、その人なりの工夫とこだわりが表れるのです。
支給される個人装備
まずは、採用時や配属時に支給される装備から。
もちろん、制服や活動服や救助服、救急服は支給されるので、今回は装備品の支給状況を紹介します。
- 白ヘルメット
- 白ヘルメット用ヘッドライト
- 白ヘルメット用防塵ゴーグル
- 防火ヘルメット
- 防火ヘルメット用ヘッドライト
- 防火服、防火ズボン
- 墜落用制止器具
- 防火長靴
- 防火手袋
- ケプラー手袋
- 皮手袋
- 感染防止衣
- 編上げ安全靴
- 救急靴
ここらへんは、必要不可欠な装備なので、基本的には支給されます。
ヘッドライトは、ガスが充満する現場でも使用できる防爆構造のものが支給されるそうです。
「明るければ何でもいい」というわけではなく、爆発しないことが重要なんだそう。
防火服には2種類ある
ちなみに、防火服ですが、コートタイプのものもあれば、セパレートタイプのものもあります。
最近はセパレートタイプのものが多いのですが、私の知り合いが消防士になった2000年代はコートタイプの消防本部が多く、セパレートタイプの防火服を入れていたのは東京消防庁など一部の消防本部だったようです。
コートタイプ
コートタイプというのは、コートみたいに長い防火服のことです。
防火服としての機能は上着のみ。下に履くのはゴム長靴で、この長靴に引き上げるタイプの防火品が一体になっています。

バックドラフトというアメリカの映画がありますが、この映画に出ている消防士の装備がコートタイプの防火装備です。
そんなコートタイプは、上着は防火服ですが、下は長靴は、防火長靴とかではなくて、薄い鉄の板が入ったそこらへんに売っているようなゴム長靴です。
コートタイプは、夏はそこまで暑くありませんが冬はとにかく寒いです。防火ズボンをはかず、活動服の上にゴム長靴を履いているだけなので、下はスースーしています。
なので、冬など気温の低い季節に、濡れないように活動服の上に雨具のズボン、そして長靴を履く。といった消防士もいたそうです。
セパレートタイプ
セパレートタイプは皆さんがイメージするような防火服。
コートタイプと違って、防火性能のある防火ズボンに、防火長靴を合わせて履きます。

このセパレートタイプの防火服、冬はそれなりに暖かいですが、夏は暑くてたまりません。
近年は、気温が高い時期が長く続き、40度を超えるような酷暑の日もあって、こんな日に防火衣上下、防火ヘルメット、防火長靴、空気呼吸器で活動するのはさすが、消防士といってもキツイそうです。
最近は、ベンチレーションシステムが考慮された防火服が登場していますが、それでも暑いものには変わりません。
ただ、燃えている建物の中に入る屋内進入と言った活動をするならば、セパレートタイプの防火服でないとキツイです。
というもの、コートタイプは上半身だけが防火服で守られていて、下半身はただのズボンで膝や股の部分が弱くなっています。万が一屋内の温度が高くなってしまった時や、玄関以外の開口部から窓を破壊して進入したりするときにケガをしてしまう危険があるからです。
支給品されるけどもし壊れたら自腹購入の可能性ある装備品
命を守るための個人装備は支給される。とはいえ、問題はここから。
採用され、まずは支給されますが、万が一壊れてしまったりしたら、自費で購入することがあります。
消防本部によっては、点数制といって、毎年特定の点数を職員に与え、その点数内で自分の好きなものを申請して支給するといた方法をとっています。
例えば、1点が500円の価値がある点数を60点を配布されたとすると、60点×500円=30,000円分が与えてもらえます。
その60点を持ち点として、防火手袋:20点、編上げ安全靴:30点と書かれた支給品要望書から装備品を申請して支給してもらう方法です。
ただ、これだけで完全におぎなえるわけではないので、不足する分はどうしても自腹になってしまいます。
ある消防士さんは、丈夫なケプラー素材の手袋が登場してからは、購入する頻度も少なくなったけれど、革製の手袋しかない時代は、毎月のように自腹で買っていたと言っていました。
- ヘッドライト類
- 白ヘルメット用防塵ゴーグル
- 防火長靴
- 防火手袋
- ケプラー手袋
- 皮手袋
- 編上げ安全靴
- 救急靴
この装備は使用頻度が高く、どうしても消耗・破損しやすい装備です。
どこに売ってるの!?と思いましたが、消防士さんたち向けの通販サイトだったり、カタログ、業者さんから購入しているそうです。
例えば、防火長靴。
サイトで調べてみると、販売されていましたが、安いものでも2万円台から。
防火手袋も安くて8,000円前後。
しかも「常に2〜3双(※手袋は“双”と数えます)」をストックしておくのが普通なんだそうです。消防士さんが言うには、「正直、負担だけど、破れてしまってから買ってしまったら、手袋が届くまでに災害があったら危険だから。」と言っていました。
そして、なんでもいいわけではないようで、基本的に、その消防本部が使っている防火長靴や防火手袋を購入しているんだそうです。
□□消防本部は○○社製の防火長靴を支給しているけれど、ある消防職員は△△社製の防火長靴を履いていたとします。万が一その消防職員が負傷してしまった場合、□□消防本部が、支給している○○社製の防火長靴を使用しないことが原因で負傷してしまうと、かなり怒られるそうです。
自腹購入の個人装備
次に、支給されないけれど多くの個人購入率の高いものを紹介します。
- ロープ袋
- キャップ用ライト
- 冬用防寒手袋
- 10mmスパナ
- 耐水メモ帳
- 防火頭巾
ロープ袋は、腰にぶら下げるも袋で、スリングを一本を入れることが可能。
ほかにも、500mlのペットボトルを入れることが出来るなど、色々なものを入れることが出来ます。
最近、消防士の間で人気なのがウロボロスクリップというクリップとカラビナが一緒になっているアイテム。
ウロボロスクリップ防火服に付けて、防火手袋などを吊るす使い方をしている方が多いんだそうですが、現役消防士の友人はこう言っていました。
「便利だけど、防火服に付けるのは正直ちょっと危ない」
理由は、
- 引っ掛かりが増える
- ゴミが入りやすい
- 落としたのに気付かないす可能性がある
防火服やズボンにはポケットがあるため、基本はそこに収納した方がいいとのこと。
彼の場合は、ウロボロスクリップを使って防火手袋を消防車の車内に吊るしておいて、出動時にパチッと外して使う。という方法を取っているそうです。
防火服のポケットには、予備の防火手袋を入れいているそうです。
消防車は座る席が決まってる
意外と知られていないのが、消防車は座る席が決まっているということ。
- 運転席:機関員
- 助手席:隊長
- 運転席後ろ:副隊長
- 隊長後ろ:隊員
「自分がどこに座るか」が決まっているからこそ、
- 手袋の位置
- 道具の配置
- 取り出しやすさ
を自分仕様にカスタマイズしている方が多いんだそうです。
これは、“一秒を争う現場”が前提の仕事だからこそ生まれたことなんでしょうね。
まとめ
消防士の装備事情を知ると、「意外と自腹が多い…」そう感じる人もいるかもしれません。
でも、実際に話を聞いて感じたのは、仕事に誇りを持っているということでした。
- 安全のため
- 仲間のため
- そして、助ける人のため
消防士という仕事は、「かっこいい」だけでは続きません。
それでも、覚悟を持って仕事に取組み、装備を整える人たちがいる。
もしあなたが消防士に興味を持っているなら、
このリアルを知ったうえで、ぜひ一歩踏み出してみてください。

