「うちの奥さん、エアコンつけた途端に寒いアピールしてくる…」
「私はまだ大丈夫と思っていたけど、夫が“湿度が高くてムシムシするなぁ”ってなげいてる…」
そんな経験ありませんか?
暑がりな夫と寒がりな妻が同じ空間で過ごすと、「エアコンをつけるタイミング」「設定温度」「除湿か冷房か」で意見がぶつかりがち。
しかも、梅雨の“低温多湿”の時期になると、気温はそこまで高くないのにジメジメが気になって、「もうつけよ?」と言う夫と。「ちょっと待って!」と言う妻。
私はエアコンをつけると寒いと感じてしまうのと、多少のジメジメは気にならないのでつけません。
旦那はジメジメしてくると、家中が湿っぽくなるからと言ってすぐにエアコンつけようとします。
…結局「ケンカ」になってしまった経験が毎年のようにあって、もううんざり、という方も多いはず。
もちろん、真夏にエアコンなしでは乗りきれないのでつけますが、梅雨時期や冬のエアコンをつけるタイミングでよくケンカしていました。
そこでこの記事では、30〜50代のご夫婦が「エアコンでのケンカを回避しつつ快適に過ごすためのルール」を、体感温度と湿度の仕組みから丁寧に紐解いていきます。
「またつけた。」と思っていた妻も、「湿気がすごいからつけたい!」と思っていた夫も、双方が納得できる“数値とルール”を一緒に作りましょう。
数値と条件を決めておく
結論から言うと、夫婦であらかじめ「室温と湿度の目安の数値」「エアコンをつける/除湿モードに切り替える条件」をルールとして決めておくことで、 “暑い・寒い・ジメジメ” の三すくみによるケンカを大幅に減らせます。
具体的には、室温 26〜28℃、湿度 40〜60% を基本に、梅雨時などは「湿度が60%を超えたら除湿」などの追加条件を設定。
さらに、温湿度計を部屋に置いて、どちらか一方の「体感」で判断するのではなく“数値”で判断するようにすると、お互いに納得しやすくなります。
体感温度は湿度で変わる
なぜ「気温だけ」では快適にならない?体感温度と湿度の関係
私自身も、「今日は26℃だから涼しいね」と思ったら、夫はすでに「暑い…」と汗をかいていたことがあります。
実は、気温が同じでも 湿度が高いと汗の蒸発が妨げられ、暑く感じる というしくみがあります。
例えば「気温28℃・湿度40%」では比較的涼しく感じる一方、「気温26℃・湿度70%」だと“蒸し暑さ”を感じやすくなります。
湿度が10%下がると体感温度が1℃下がると言われています。
このように“湿度”が体感に大きく影響するため、エアコンの設定を考えるときには「温度+湿度」で考えることがポイントです。
気温が28度でも湿度が40%位だと、涼しく感じられて、日陰で風が吹いていれば、心地良く過ごせます。
逆に、気温が26度と低くても湿度が70%を超えてくると暑いと感じます。
| どう感じるか | |
| 気温28度 湿度40% | 涼しい感じやすい |
| 気温26度 湿度70% | 暑いと感じやすい |
なぜ、気温が低いのに暑く感じてしまうかというと、汗の蒸発が関係しています。
人間は、暑くなると汗をかき、かいた汗の水分が蒸発するときに体から熱を逃がして体を冷やします。
湿度が高いと、汗が蒸発しにくく、体温が下がりにくくなってしまうために暑く感じてしまうのです。
快適に過ごせる湿度
快適に過ごせる湿度は40~60%といわれ、70%を超えると不快に感じてきます。
低ければよいというわけでもなく、40%以下だと空気が乾燥してきます。
湿度60%以上が続くととどうなるか
暑さのほかにも、生活環境の悪化として、ダニやカビが繁殖しやすくなります。
カビは、湿度60%をこえるあたりから活動しはじめて、湿度80%以上がつづくとたったの数週間でもカビが発生するともいわれています。

カビが原因で家具や家の内装がいたんでしまうおそれがあり、また、空気中を浮遊するカビの胞子を吸い込んでしまうことでアレルギー鼻炎などの健康面での被害をひきおこすおそれがあります。
湿度40%以下ではどうなるか
乾燥した状態が続くと、肌やのど、鼻の奥、目が乾燥してしまい粘膜をいためてしまうキケンがあります。
また、空気が乾燥することで、風邪やインフルエンザなどのウィルスが浮遊しやすくなり、それらを体内に取り込むことで体調を崩してしまう恐れがあります。
60%以上
- 汗が蒸発しにくく暑くかんじてしまう。
- カビやダニが繁殖しやすくなる。
- カビが原因で家や家具がいたむ。
- 空気中にカビの胞子がふゆうし、それを吸い込むとアレルギー性鼻炎などの被害をひきおこすおそれがある。
40%以下
- 肌やのど、鼻の奥、目が乾燥してしまい粘膜を痛めてしまうキケンがある。
- 風邪やインフルエンザなどのウィルスが浮遊しやすくなり、風邪をひいてしまう恐れがある。
梅雨・低温多湿期は「除湿」モードがおすすめな理由
特に梅雨時期は外気・室内ともに「低温多湿」の状態になりがちです。
梅雨は、一般的に湿度が高くジメっとしているけれど、気温はそこまで高くない「低温多湿」という状態だそうです。
参考に東京都の2023年6月の平均気温と平均湿度を調べてみました。
| 平均気温(最高) | 27.6℃ |
| 平均気温(最低) | 19.6℃ |
| 平均湿度 | 80% |
気温自体はまだそれほど高くなくても、湿度が80%を超えるケースもあります。
この時期、冷房(温度をグッと下げる)だけを使うと、室温が下がりすぎて「寒い!」と感じてしまう妻側の気持ちも出やすくなります。
そこで、「除湿(湿度を下げる運転)」を使って体感を改善するのがおすすめ。実際、湿度60%以上で不快感を感じ始めるというデータも。
除湿には「弱冷房除湿」「再熱除湿」「ハイブリッド除湿」など方式がありますが、ポイントは「温度を下げ過ぎず、湿度を下げて快適をつくる」こと。
このように、梅雨期は温度だけではなく「湿度が何%か」を目安に“エアコンをつける/除湿モードを切る”をルール化すると、夫婦双方が納得しやすくなります。
除湿には3つの種類がある
湿度を下げたい時に、皆さんのお使いのエアコンや除湿器がどのように動いているのかご存じですか?
機種によりますが除湿の仕組みには大きく3つあります。
- 弱冷房除湿
- 再熱除湿
- ハイブリッド除湿
除湿の種類で何が違うかというと、部屋の湿度を外に出す仕組みは同じなんですが、部屋にもどってくるときの空気の温度が違います。
弱冷房除湿
湿った空気を取り込んで冷やすことで空気中に含まれる水分を集めます。そして、冷やした空気をそのまま部屋にもどします。
冷やした空気をそのまま室内にもどすために寒く感じることがあります。
再熱除湿
湿った空気を取り込んで冷やすことで空気中に含まれる水分を集めるまでは弱冷房除湿と一緒ですが、再熱除湿は冷やした空気を再度温めてから部屋にもどすので、部屋の温度は下げずに湿度のみを下げることができます。
ハイブリッド除湿
再熱除湿と同じく、冷やした空気を温めかた部屋にもどすのですが、「ハイブリッド除湿」は冷やした空気と室内の空気を混ぜ室温に近づけてから部屋にもどすので、消費電力は再熱除湿よりもかかりません。
家計にも配慮!エアコン運転で節電&健康配慮も忘れずに
エアコンを無制限につけてしまうと、光熱費が家計に響きます。ですが、つけないで我慢しすぎると、熱中症や脱水症状、ジメジメによるカビ・ダニの繁殖という健康リスクもあります。
研究によると、長時間「除湿運転」を続ける方が「冷房運転」よりも省エネになるケースもあります。
ただし、「再熱除湿」など方式によっては電力消費が多い場合もありますので、エアコンの機種・運転方式を確認することも大切です。
また、風が直接体に当たると冷えすぎて「寒い」と感じやすくなるため、風向き・風速の設定にも気を配りましょう。
このように「快適な温湿度+身体・家計・空間環境」すべてをバランスよく考えて運転ルールを作ることが、夫婦円満&暮らしやすさを両立する鍵です。
消費電力は?
電気料金の値上げもあり、好き放題につけていては家計を直撃してしまいます。
ただ、エアコンをまったく使わないというのは体調面でとてもキケンなので、節電を心がけつつもエアコンを活用したほうがよいと思います。
気になる消費電力は、再熱除湿>冷房>弱冷房除湿≒ハイブリッド除湿となっています。
ただ、使用環境や設定温度、電力会社と契約しているプランでも電気代が異なりますのでご注意下さい。
日本一湿度の高いのは新潟県?
以前、日本一湿度高いところは、新潟県。
その中でも長岡市というところは特に高くて、エアコンメーカーがここで研究開発するほど湿度が高いと言われました。
長岡市は毎年8月に行われるながおか花火大会が有名です。
周りを山に囲まれた盆地で風が吹きにくく、市の中心を日本一長い川と言われる信濃川(千曲川)が流れているから。と教えられました。
その時は、なるほどなぁと思っていたんですが、この記事を書くにあたり調べてみたところ、そんなことはなく、その年ごとに熊本県であったり、富山県、岩手県、沖縄県であったりと様々でした。
温度だけで見る快適な室温
室内の温度だけで考えると、快適に過ごせる温度は26~28度といわれています。
サーキュレーターなどで、室内の空気を動かすことでより心地よく感じることができます。
ただ、温度についても、湿度と同じように低ければ快適というものではありません。
5月にも30度を超える日もありますが、日の当たるところの30度は暑くても、日陰に入ると涼やかな風が吹いてベタベタもしなくてカラッとしているように感じませんか?
たとえ気温が高くても湿度が低くければ快適に過ごせますし、部屋の空気が動いていればより快適に過ごせます。
無理なく過ごせる湿度と温度
無理なく過ごせる組み合わせは室温26~28℃、湿度40~60%
多少室温が高くても、湿度が50%以下だと過ごしやすいと感じる方が多いようです。
他にも、サーキュレーターやシーリングファンなどで部屋の空気を動かすことで快適にすごせるのではないでしょうか。
ただし、個人差がありますし、体調の悪い方や持病を持っている方は無理をせずご自身の過ごしやすい環境をおススメします。
エアコンをつけるタイミング
改めて結論を言うと、ご夫婦が“エアコンのつけるタイミング”をあらかじめ数値とルールで決めておくことで、暑がり・寒がりのズレによるケンカを大幅に減らせます。
具体的には「室温26〜28℃/湿度40〜60%」を基本にして、梅雨期など湿度が高くなる時期には「湿度60%超えで除湿モードへ」というような条件を加えてみてはいかがでしょうか。
温湿度計を使って“どちらかの体感だけで判断せず数値で”判断するのもおすすめです。
おすすめの温度・湿度設定と、夫婦ルールの作り方
では、実践的な数値としておすすめの目安を紹介します。
室温:26〜28℃が多くの人にとって快適だという調査があります。
湿度:40〜60%が快適な湿度範囲とされています。湿度60%を超えるとダニ・カビのリスクも上がります。
この数値を基に、たとえばご夫妻で次のようなルールを決めるのはいかがでしょうか。
- 温湿度計を設置して、お互い確認できるようにする。
- 「室温27℃または湿度60%を超えたらエアコンON」のように、 いずれかを条件にスイッチを入れる。
- 梅雨時期/ジメジメ期は「湿度が65%を超えたら除湿モードに切り替える」など、季節別ルールも加えておく。
- エアコンをつけた後、「寒い」「冷える」という声が出やすい妻側には、風向きを天井・壁にあてて直接風が当たらないようにする。
- サーキュレーターや扇風機を併用して、部屋の空気を動かす「体感温度を下げる」工夫をする。
このように、数値+共通ルール+ちょっとした工夫で、夫婦それぞれの“暑がり・寒がり”のズレを埋めていきましょう。
温湿度計を活用してみて
温度と湿度を確認するのにおすすめなのが、温湿度計。
我が家ではTANITA 温湿度計「TT-559 GY」を使っています。
湿度の変化もリアルタイムでチェックできます。
表示もデジタルなので快適度が一目でわかり、顔のイラストの表情が快適なのか危険なのかで変わるのでも分かりやすい。
シンプルデザインでインテリアにも馴染むのも◎
【まとめ】夫婦ケンカをしないために
いかがでしたでしょうか?
夫婦で「エアコン問題」で毎年イライラ…という方ほど、「ルール化」するだけでぐっとラクになります。
もちろん“最適”な設定は住まいの環境、機種、ご夫婦の体質によって変わる部分もありますが、まずは今回ご紹介した「数値&条件ルール」をベースにお試しください。
温湿度計を置いて、二人で目に見える形にしておくのがポイント。
そして、ルールを決めたらぜひ「これからは、このルールでやってみよう!」と宣言してみてください。
ちょっとした“夫婦の共通ミッション”になると、ケンカではなく「二人で快適をつくる」というポジティブな方向に変わります。
今年こそ、エアコンのスイッチで「またまたケンカ…」ではなく、「あ、条件超えたからそろそろつけようか」と笑顔で会話できる夏を迎えましょう!
そして記事内で紹介した温湿度計なども活用して、数値で判断する習慣をぜひ。
まずは“温湿度計を設置する”ところから、始めてみませんか?
電気料金の値上げもあり、好き放題につけていては家計を直撃してしまいますので、節電を心がけていますが、最近の夏の気温はとても高く、室内にいても熱中症や脱水症状になってしまうことも。
脱水状態では血液がドロドロになってしまい、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが増えるとも言われているので、無理な節電は控えて無事に夏を乗り切りましょう。
ほかにも夫婦喧嘩をしたくない方への記事がありますので、ぜひ読んでください。

